地域情報化の最初の実証実験は医療だった
長野で最初に関わった実証実験は医療連携だった。
県立病院、診療所、調剤薬局、在宅ケアセンターの間をVPNで結んで、SAAS型の地域共通カルテ環境を作り、モニター参加した住民の服薬情報を収集して、これらの情報をモニターは自宅のテレビを使ってケーブルテレビのデータ放送を使って確認出来るという実験だった。
これによって薬の二重出しも防げて、飲み併せの悪い薬の調剤も防げるのでとてもいいことに見えるのだが、やってみると色んな課題が見えてくる。
まず、ニーズと費用。。。このスキームに関わる人の中でどれだけの人がどんなニーズを持っているのか?それは費用を出すに値するものなのか?
大体の地域情報化はこの部分を明確に出来ずに実現しない。
医師はカルテを共有されることを嫌がっている人もいた。自分の診断や処方が他の医師に見られることに抵抗があるらしい。これはプログラミングの世界でもソースを他のプログラマーに見られることを嫌うのと似ている。
看護師は使い慣れた紙での記録の方がいいと言う。結局二重作業になるからと。
患者は「薬を飲み忘れること」にリスクをそんなに感じていない。普段も結構飲み忘れているから。
費用面で、物を買うお金に補助は出るけど、ランニング費用は補助されない。
ランニング費用の中で最も大きく負担になるのはネットワーク費用だった。
これをどうやったら抑えられるのか。。。
そこから自分の中で「地域内限定で廉価のネットワークの実現方法」という模索が始まった。